歯科ブログ

お口の中のできもので、悪性または悪性の疑いがある場合(2)

2008年06月25日

通常、開業医や開業歯科医が、患者さんのお口の中に悪性できもの、またはその疑いのあるできものを発見した場合、悪性腫瘍の治療に対応できる病院(主に大学病院、または総合病院)を紹介します。

『早期発見、早期治療』というがんの治療対する認識は、近年随分普及してきており、がんは早く発見して、より早い段階で治療をすれば、がんは治るということが広く知られるようになりました。

 

お口の中や口腔領域の悪性のできものの治療は、体の他の所にできる悪性腫瘍の治療と基本的には同じですが、下のような特殊性があります。

 

(1)発見から治療するまでの期間が、体の他の所にできる悪性腫瘍に比べて早いです。

これは、お口の中や周りの悪性できものは、場所的に目につきやすく、治りにくい潰瘍、口内炎、疼痛、嚥下困難、発音、摂食障害などの自覚症状が初期から出現するため、体の他の所にできる悪性腫瘍より発見されやすいからです。

もちろん、発生した場所にもよりますが、自覚症状があまりなく、悪性腫瘍がかなり進行してから、はじめて発見される場合もあります。

 

(2)病理組織の分類から見るとお口の中や周りの悪性のできものの大部分は扁平細胞癌です。

扁平細胞癌は、リンバ転移しやすい傾向があります。

お口の周り、特に、口腔底(舌の下)、頚部には沢山のリンパ組織があるため、初期の早い段階でも、リンパ転移が起きることがあります。

このため、発見されたら、すぐに治療をしなければなりません。

 

(3)お口の中や周りの悪性のできものの治療は、発音、摂食、咬合、呼吸、さらに、外貌(外見)に影響を及ぼすため、そのできもののでき方にもよりますが、高度な再建手術が必要になることがあります。

 

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お口の中のできもので、悪性または悪性の疑いがある場合(1)

2008年06月20日

お口の中のできもので、悪性または悪性の疑いがある場合、通常の開業医の診療所では、顕微鏡検査をしないで、ただちにに大学病院を紹介するのは、一般的な考え方です。

 

理由は前回も少しお話ししましたが、もう少し詳しくお話ししたいと思います。

 

(1)周囲の健康な組織を含めたできものの一部を切除して、病理専門医により病理組織検査(顕微鏡検査)を行うのは、悪性のできものの確定診断にはもっとも確実な方法ですが、一部分を切除することによって悪性のできものが急激に広がってしまう可能性が高いため、通常は、

 

①侵襲の少ない細胞診断を先に行います。

しかし、確定診断は困難であるため、通常、他の方法を併用します。

 

②入院して行う。

また、悪性の疑いが強い場合、病理組織検査を行うと同時に(あるいはその前に)、抗がん剤を投与し、腫瘍の広がりを抑制します。

 

③手術直前、または術中に、迅速冷凍病理検査を行う。

この方法は、通常の方法が困難で深部に存在している腫瘍の確定診断、(口腔領域の場合:舌下腺、顎下腺に発生している腺癌など)、切除された組織の悪性の有無、およびサジーカルマージン(手術して取り除いたできものの境界部分)の確認には、欠かせない方法です。

 

(2)顕微鏡検査のため、悪性のできものの一部を切除した場合、正常な組織の治りと違い、腫瘍の急速な広がりはもちろん、その治りが悪く、二次感染も起こしやすいです。

このため、後日、できものを除去するための手術の時、切除範囲が分かりにくくなり、手術が困難になります。

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お口の中の悪性のできものについて(3)

2008年06月09日

通常、アフター性口内炎の場合、口内炎の範囲が広く、痛みなどの症状がひどくても、指で触る感じは周囲との癒着がなく、硬く感じません。

また、口内炎になっている粘膜は赤く見えても、白く変色することはありません。

周囲の正常粘膜と比べても、極端な陥凹や隆起が見られません。

 

一方、口腔粘膜の悪性のできものの場合は、指で触ると硬く、白い変色がみられ、周囲の正常な粘膜より、陥凹、または隆起しているものが多いです。

しかし、これらの違いはあくまでも、教科書的な特徴に過ぎず、臨床的にはもっと複雑です。

 

勤務医時代に担当した今でも忘れられない、舌の潰瘍で大学病院に来院した患者さんのお話しをします。

そのできものの外見は、通常のアフター性口内炎に見えて、病変周囲に硬い所も殆どなっかたため、外来で口腔外科の他の先生達も、舌のアフター性口内炎と二週間も診断していました。

幸いに、二週目の終わり頃に私たちはできものの外形変化および治癒の遅いことに気付き、顕微鏡の検査を行いました。

悪性腫瘍であることが分かった後、すぐに手術(舌の部分切除、上頚部リンパ節郭清、術前、術後の放射線治療)を施行し、無事に治癒した一例でした。

前回お話ししたように、葉山歯科医院では、このような口内炎や類似病変で来院している患者さんに詳しく問診、診察、口腔内の写真記録を行い、ある程度までの治療をします。

治療の効果が想定より遅く、治りが良くない場合は顕微鏡検査も行いますが、悪性の疑いが否定できない患者さんには、顕微鏡検査をせずに直ぐに大学病院を紹介します。

悪性の場合は、顕微鏡検査のために、できものの一部を切除しなければならず、切ることによって悪性のできものが急激に広がてしまう可能性があるため、悪性の可能性がある場合は葉山歯科医院では顕微鏡検査を行いません。

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